社会インフラを支えるミッションクリティカル領域だからこそ磨かれる エンジニアとしてのスキルと専門性
2026.05.12

成澤 洋司(技術戦略室長)
このインタビューでは、黎明期から同社の技術を支え続けてきた技術戦略室の責任者である成澤氏に、社会インフラを担うQUADRACのエンジニアとしての覚悟と、これから参画するメンバーに託したいビジョンを聞きました。
組み込み開発で培った「慎重さ」が強みに
――まずは、ご自身のキャリアとQUADRACを選んだ理由を教えてください。
前職では、カーオーディオや携帯電話、カメラなどの組み込み開発に携わっていました。メーカーの受託案件がメインでしたが、次第に「自社開発で、腰を据えてプロダクトを育てたい」という想いが強くなり、転職を考えるようになりました。
そのなかでQUADRACを選んだのは、自社サービスの開発に関わることができるという点に加えて、「技術的な尖り方」が大きな理由でした。LinuxサーバでのARM CPU採用や、FTJ(強誘電体トンネル接合)を活用したハードウェア制御技術。他ではあまり採用されていなかった技術に触れられる環境に純粋に惹かれましたね。
実際にジョインして感じたのは、それまで組み込み開発で培った「不測の事態を徹底的に潰す」という思考プロセスが、交通決済という極めてミッションクリティカルな領域で強力な武器になるということです。組み込み開発の場合、基本的にはソフトウェア更新ができないので、とにかく事前に異常事例やユースケースなど、あらゆるケースを想定し、それを見込んで開発をします。この経験はQUADRACでの業務に大いに活きていると思います。
社会インフラを支える「覚悟」と「検証」の重み
――交通決済という、止まることが許されないサービスを開発・運用する上で、大切にしていることは何でしょうか。

私たちの顧客である交通事業者は、安定した運用に対して並々ならぬ責任と覚悟を持っています。私たちはこの思いに寄り添い、事業者様と一緒に「社会インフラを背負っている」という気持ちで日々の業務に取り組む姿勢が重要だと思います。
例えば、開発プロセスにおいては「できます」と安易に答えない慎重さも必要。一つの変更がどこに波及し、どんな不具合を招く可能性があるのか。万が一システムが止まった際の復旧プランはどうあるべきか。確実すぎるほどの検証を重ねる慎重さと根気強さを持って最後までやり切る。それが、私たちのチームにおける開発との向き合い方です。
安定運用と、既存システムの刷新を同時に進める
――現在、組織としてはどのような体制で開発を進めているのでしょうか。
開発の中心となるのは「技術戦略室」と「開発部」です。 私が率いる技術戦略室は、プロダクトの仕様を決定する上流工程を担っています。お客様の要件を整理し、それを具体的な仕様へと落とし込んでいく。メンバーにはテンプレート通り、指示通りに動くのではなく、自分なりの理解をしながら業務をしてほしいと伝えています。エンジニア出身者だけでなく多様なバックグラウンドを持つメンバーがいるため、個々のスキルを伸ばせる環境づくりも意識しています。
一方で開発部は、「技術戦略室」がまとめた仕様にそった開発を行ったり、開発を担当する外部業者の管理をしたりするほか、既存システムの24時間365日保守運用を支える開発を担っています。 開発における現在の課題は、開発初期から「建て増し」を繰り返してきたソフトウェアを、今の仕様に合わせてリニューアルすること。そこには、新しいアーキテクチャをゼロから考えられるエンジニアの力が不可欠です。
ベンチャーの「スピード」と、インフラを担う「堅実さ」両立
――QUADRACの開発環境には、どのようなエンジニアが向いていると思いますか?

QUADRAC自体はスピード感のあるベンチャーでありながら、インフラを守る責任上、事業者様には、絶対に運用を止めない、不具合を起こさないという堅実さを求められます。QUADRACのエンジニアは、その両方のバランス感覚が求められる稀有な環境にあります。
事業者様の運用を深く理解した上で、「この機能を追加すれば運用コストが下がる」「この手順なら迅速に復旧できる」といった明確なビジョンを描ける人が向いていると思います。また、そのビジョンを実現するために、石橋を叩き割るほどの検証を重ねる根気と慎重さがある方。あるいは、事業者様の要望を汲み取り、それをシステムとして組み上げるのが得意な方にはやりがいが感じられる環境だと思います。
「導入」から「利用促進」へ。ユーザーの習慣を変える挑戦
――これから加わるエンジニアに、一番期待していることを教えてください。

ここまで、私たちは導入事業者を増やすことに注力してきましたが、ここからは「いかに利用者を増やし、日常的にクレジットカードのタッチ決済を使ってもらうか」というフェーズに入ります。
しかし、交通系ICカードが既に浸透しているなかで、クレジットカードでのタッチ決済を利用いただくというのは、まさに人の習慣を変えること。それは決して簡単ではありませんが、だからこそ挑戦しがいがあると思います。
私たちが目指すのは、単なる決済手段の提供ではありません。データがサーバ側に一元管理されている「Q-move」には、リアルタイムでデータを活用した施策が打ちやすいという強みがあります。この優位性を活かし、「QUADRACでしか提供できないサービス」を形にしていきたい。日本の移動をアップデートするという大きな目標に、共にワクワクしながら取り組んでくれる仲間を待っています。
実際に利用されている現場を頻繁に目にする。「便利になったね」というユーザーの声が、直接聞こえてくる。そんな社会へのインパクトを肌で感じながら、自らの手で「仕組み」を作り上げたい。そんな熱意を持つ方と、これからの移動の常識を塗り替えていきたいと思っています。
